松本清張の眼が捕らえる女性像
『黒革の手帖』は、新潮社から出している週刊誌『週刊新潮』に1978年から1年半近くにわたって連載された松本清張の長編小説です。面白いことには、この小説は『黒革の手袋』というタイトルのまま単独で連載されたのではなく、『禁忌の連歌』という4作からなる松本清張の小説シリーズとして掲載されました。『渡された場面』『状況曲線』『天才画の女』、そして第4作目が『黒革の手帖』となっています。新潮文庫版で上下二巻ものになっています。
この作品、今までに何度かテレビでドラマ化されていて、いずれかの放映、一度は観たことがあるという人は多いと思います。ただ、1982年に山本陽子が主演のドラマは、放映された時代が30年も前ということもあってか、原作に忠実で、とっても悲しい結末になっていました。松本清張という作家が、彼の生きた時代の女性の地位をよく表していて、主人公はただただ責め苦にあえぐという展開です。現代の人がこれを観ていてどこまで我慢できるのか…
ちなみに黒革の手帖というのは、架空口座の存在が書かれていた銀行の手帖なのです。