人と人が愛しながら憎み合う世界で
松本清張作『黒革の手帖』は、とある銀行の支店に勤務する原口元子というごく普通の女性が、職場でその立場を利用して大金を横領し、それを資金にして銀座のクラブでママにまでのし上がっていくという展開がはらはらさせられる物語です。
主人公の原口元子は、大金を手にしたあと銀行員を辞め、まずは見習いとして銀座に入ります。銀座に生きるための知恵をすべて身につけた元子は、その内にクラブ・カルネという自分の店を持つにいたります。カルネというのはフランス語で手帖を意味します。生きる道をなくしていた女性波子を元子が救い、ホステスとして採用しました。しかし波子はやがて店の常連客と関係ができ、その男から受け取る金で元子の店と同じビル内で独立してみせると言い出します。恩を仇で返す波子に怒った元子は、黒革の手帖のコピーを手にその常連客楢林をゆすり、波子の話はすべて露と消えてしまいます。
その後、代議士秘書や総会屋などの客が出入りし、恋仲にもなったりしながら、売りに出されたと聞いた銀座切っての店ロダンを買収すべく、2人の客を利用して金策に走ります。そのような中、二人の客の一人長谷川が罠をかけてくるのでした。あとは観てのおたのしみ。